借りた500万円で「経営・管理」の在留資格をとることはできますか。

私(中国人)の友達(中国人)は、留学生です。アルバイトに忙しくて大学の出席日数が足りません。この友達から「留学」のビザが更新できそうもないと相談を受けたので、500万円を業者から借りて会社を設立して「経営・管理」のビザを取ればいいとアドバイスしました。

借りたお金で利息も高いので、すぐに返済しなければなりません。超特急でビザの申請をしてもらえますか?

いわゆる「見せ金」での会社設立は認められていません。

「見せ金」とは、会社設立において、発起人が資本金払込をするにあたり、第三者からから借り入れて払込みをし、会社設立後に会社の預金を引き出して返済にあててしまうことをいいます。この見せ金は、「預合」とは異なって直接の刑事罰の規定はありませんが、見せ金による払込の効力は無効とされています(最高裁昭和38年12月6日判決)。見せ金による増資で公正証書原本不実記載罪(刑法157条)に問われた事例もあります。

あなたの友達のように見せ金であることが明らかなケースでは、在留資格認定証明書の申請の面からも、500万円の出資は無効とされますので、認定証明書の交付は可能性がありません。また、見せ金であることを知らされた当職としても受託できません(見せ金であることを知らされなくとも、客観的に見せ金による会社設立であることが明らかな場合は受託しておりません)。

最高裁昭和38年12月6日判決は、見せ金(仮装払込)にあたるか否かについて

  1. 会社成立後,借入金を返済するまでの期間の長短
  2. 払戻金が会社資金として運用された事実の有無
  3. 借入金の返済が会社の資金関係に及ぼす影響等

の三点を総合的に考慮して判断すべきとしていますが、在留資格認定証明書の申請においては、出資が真正であることを総合的・積極的に証明する必要があると思われます。社会経験のない留学生の方などは資本金にあてるお金の形成過程を証する資料が必要になります。

※ 2017/12 掲載