悩めるハタチ男子からのイギリス留学相談 May 23, 2013 (Thu)

5月のとある土曜日のこと、先ごろ覚醒剤使用の罪で執行猶予3年の判決が出たという二十歳の男性から、UKビザ相談のお電話をいただきました。

高校は中退し、大検を取ったが、心が不安定(躁鬱病)なこともあって、現実から逃げたくて、つい覚醒剤に手を出してしまった。二度目に気分が悪くなったことがきっかけで警察に知られてしまった。深く反省し、それからは手を出していない。英文学を学びに一年ほど英国留学し、将来的には大学院にも行きたいが、日本でまず大学に進学して、大学を通して交換留学をめざしたほうがいいか?けれども、自分の過去では交換留学は難しいだろうし、日本での進学は時間の無駄のような気もする。ビザの取れる可能性はどれぐらいあるか?また、留学の手続そのものはやってもらえるか?

そのような相談でした。

英国では、執行猶予中であっても申請は可能ですし、絶対に許可が下りないというわけでもないのですが、覚醒剤・麻薬に対しては世界的に非常に厳しいので、判決が出たばかりですし、当然難しいでしょう。それ以前に、彼の場合、限定パスポートになりますので、そもそも1年の留学自体が難しくなります。執行猶予期間を終えたからといってもビザの出る保証はありませんが、まずは執行猶予をきっちり終わらせることが筋ではあるでしょう。ビザ申請に対しても一歩プラスになります。ビザ申請は、総合判断なのです。過去の犯罪歴を正直に申告しながらも、他のプラス材料をそろえ、よい方面をアピールすることで、マイナスの事実を和らげて見せることも可能です。

暗い過去をきっかけに、人生を変えたいという相談者はたくさんいます。いまの彼には、その三年という時間が無駄に思えるかもしれませんが、若いときの三年など、いくらでも取り返しがつきます。

この日、彼から4回ほど電話があったでしょうか。だんだんと詳しく話してくれるようになりました。最後は名乗ってくれました。そして、最後の電話は、お父さんと相談した結果、まずは日本の大学に進学し、その間きちんと執行猶予を終了させて、それから再度留学を考えることにしたので、そのときはまたよろしくお願いしますというものでした。

わざわざ律儀に報告いただいてうれしく思いましたが、なにより、この選択肢に私はほっとしました。彼よりは社会経験のある大人から見れば、これが最良の道だと心から思うからです。若い彼の未来に幸あれと願わずにはいられません。