好きなことを仕事にしたい(留学生の就労ビザ) June 27, 2013 (Thu)

とある国際交流協会にてセミナー講師の役目を無事終え、応援に来てくれたビズパートナーとともに片づけていたときのこと。来場してくれた女の子が、遠慮がちに「就労ビザについてお伺いしてもいいでしょうか」「ええ、どうぞ。せっかく来てくださったのですから、この機会になんでも聞いてください」

専門学校で映像関係を学びつつ、小さな制作会社でバイトをしていて、卒業後はぜひその会社に就職したい。けれども、給料もよくないし、正社員として雇用してもらえるかどうかもわからない、そんな状態で就労ビザに変更できるだろうか?もし不許可となったら?初めからもっと手堅い会社を狙うべきか?

本当にガイコク人なの?と疑いたくなるほど流暢な日本語で、そう相談されました。

入管では、必ずしも正社員であることを要求していません。意外なようですが、期間契約でもOKです。雇用の実態があることが大事なのです。労働条件の明記された雇用契約のあること、学士や専門士の資格を得ていること、同じ仕事に就く日本人と同額以上かつ客観的に見て生活できると思われる給料のあること、受入会社の安定性や将来性、そんなところが審査の対象となります。最近の日本の経済・給与事情を反映して、入管でも、以前より審査の給与水準を下げているようです。

そして、留学ビザの期限前に就労ビザへ変更申請済みであれば、万が一不許可となっても、不許可となった就労ビザへの変更申請を「特定活動」への変更申請として扱ってくれます。これは、いわば留学生の就活のための救済措置で、最長1年間の在留が認められます。

彼女の悩みごとはこれで吹き飛びました。三人で話しながらエレベーターに乗り、ビルを出て、駅へと向かいます。この仕事と会社が好きなんですとうれしそうに言う彼女に、「でも、そういうところって3K労働でしょう?」茶々を入れるビズパートナー。「そうですねぇ(笑)」飾り気がなくて、ちょっとボーイッシュなところがなんとも爽やかな彼女。好きなことを仕事にするって、いいと思うなぁ。がんばってくださいね」と私。「ありがとうございます」駅前で、手を振って私たちは別れました。

学生時代は好き勝手やっていても、就職となると、途端に安定を求め始める学生が大多数である中、正社員でなくても、給料が安くても、好きなことを仕事にしたいと願う彼女の横顔は、若者らしい希望に輝いていました。なんだか晴れ晴れとした気分で、私たちはお昼を食べに王将へと向かったのでした。