黒龍江省木蘭探検隊 8 負けるな、小日本人 2012/07 May 27, 2015 (Wed)

荷物の量と気迫に圧倒されそう

ハルピン太平国際空港は、国内線と国際線がひとつのターミナルにあります。・・・のはずが、どこを見ても国際線のチェックインカウンターが見当たりません。朝8時の便のために4時起き、5時半に空港到着しておきながら、まさか、乗れなかった・・・なんて。

さんざんウロウロして、ようやっと空港の係員らしき男性を見つけて尋ねたところ、ここだよ、と指差されたのは目の前の小さな「ドア」。よーく見ますと、そのドアの左上部に小さく「国際線」の案内表示が。時間が来ると、そのドアが開く仕組みになっているのでした。国際線チェックインカウンターは、ドアの奥に隠されていたというわけです。

ドアの前には二家族ぐらいしか並んでいなかったのですが、油断はなりません。なにせ、この人数でどうやってこれだけ運ぶのだろう?というぐらい大容量の荷物を抱えた人民の先を行かなければ、時間内にチェックインできる保障さえないからです。

が、さすがは中国人。私たちの前に割り込んでくる夫婦あり。そうかと思えば、外側からは、正当な列を完全無視して、邪道な列を創作し始めるグループあり。

ふと後ろを見ると、例によってありんこが沸いてくるがごとく、いつのまにか、わいのわいのと人民が地平線の彼方まで?続いています。と、そのとき。ちょっと後ろの女性グループのひとりが、いきなり大きな商品の箱を開けて、中ブタを取り除き、ボストンバックから次々と服を出してはその箱に乱暴に放り込んでいき、バンバンッ、と二人がかりでフタを押さえつけたあとは、別の女性が透明のビニールテープ(粘着テープ)をメリメリビリビリ言わせながら、腰を入れて箱をグルグル巻きにしていきます。

その後方では、ボストンバッグをビニール袋に入れてから、やはりビニールテープでグルグル巻きにする男性。気がつけば、あたり一帯、ビリビリっ、メリメリっの大合唱。これがチェックイン前の人民の儀式というわけです。

そうかと思えば、里帰り一家の女性が、身軽な私たちにめざとく目をつけ(バス移動を考慮し、2人とも35L前後の荷物)、自分たちの荷物を一部、一緒にチェックインしてくれないか? と持ちかけてきます。預け荷物が重量オーバーにならないように、見ず知らずの人間の枠まで使おうというたくましさ。でも、麻薬でも運ばされたらタイヘン、と私たちは断ります。

チェックインレース開始!

国際線のドアはまだ開きません。割り込んできた夫婦を割り込み返して、必ずや彼らの先を行くよ~!とパートナーと作戦会議、ドアをちらっと開けて、レースコースを確認する加藤。

「あとどのぐらいですか?」。係員に尋ねますと、「もうちょっとだから待ってて」

ほどなくして、ついにオープン!

それっ!と、身軽を武器に、私たちはあっという間に割り込み夫婦の脇をすり抜け、預け入れ荷物検査→チェックイン→イミグレーション→手荷物検査の全工程を終え、搭乗口へイチバン乗り。

どんなもんだい!

小日本人(シャオリーベンレン: 中国人が日本人をバカにして呼ぶ言い方のひとつ)を舐めないほうがいいよ~。割り込みされたら、割り込みし返す。モラルのない人民にはモラルを捨てて対処するのが、中国ビジネスの真髄?

さて。せっかくイチバン乗りしても、搭乗口の戦いに敗れたら、意味ありません。大容量の手荷物が雪崩れ込んだあとでは、自分たちの荷物を入れるスペースはないでしょう。

「でも、ここに荷物置いて陣取っておいても、どーせ中国人はその前に置くし。脇からでも前からでも入り込んでくるし」とビズパートナー。そして、もうすぐ搭乗開始かという頃、さきほど二番手となった割り込み夫婦が、搭乗口前にたくさんの荷物を置き始めました。

そこで、「ダイジョウブだよ。こうやって、脇からでも前からでも入り込んじゃうもんねー」とパートナーがふざけて割り込みをデモンストレーションしていたら、脇の待合席で見ていた割り込み夫婦のおじさんが笑っています。

いまや彼らの専売特許をしっかとマスターした小日本人ということで、一目置かれたのでしょうか?

機内では、前の座席の8歳&6歳姉弟に気に入られた加藤、ときどき遊んであげたり(遊んでもらったり?)、パートナーは割り込み夫婦の荷物を降ろしてあげたり、その奥さんが私にカタコトの日本語で愛想よく話しかけてきたり・・・

1時間55分の空の旅を終える頃には、すっかり中華コミュニティ?の一員となっていたのでした。

おしまい