黒龍江省木蘭探検隊 6 見え透いた嘘とメンツ 2012/07 May 26, 2015 (Tue)

中国人の面子(メンツ)を潰すとこうなるの例

「あれ? あなた、青島だかハルピンだかにいたんじゃないの?」

事実を指摘されて烈火のごとく怒り狂う、コワ~イ黒龍オンナ。

報告のため写真を撮っていたパートナーには、写真を撮るなと噛みつき、渡した書類を「いらん!」とつき返してきます。そして、写真撮影をごまかすためタコ踊りを始めるパートナーをおもしろがる観衆、現場はお祭り状態。

見え透いたしらじらしい嘘を平気でつくウソつきを、ちとたしなめてあげよーと、「ウソツキ~!」と投げつけると、大魔神のような顔になり、退散しようとした私の腕をむんずとつかんで押し倒そうとします。

騒ぎを聞きつけたご近所ギャラリーがますます増える中、ちょっとマズイ雰囲気になってきたな、というところで我が中国スタッフ、中国人らしくその場での話をうまくまとめました。

実は、この黒龍オンナに用があり電話したところ、このあいだは「青島」にいると言い、その日は「ハルピン」にいると言い、それだけでは信用できない疑り深い私たち、きっとこのへんに潜伏しているに違いないと読んで、玄関に張り紙をしにいったのですが・・・

マンションの住人である青いシャツ着た暇な老人が、「誰だ、おまえらは!? ここでなにしてるんだ!?」と因縁をつけてきたため、スタッフと私がわいのわいの応戦していたところ、その老人との戦闘になんだなんだ?とすでにご近所ギャラリーができておもしろがっていたのですが、その騒ぎを聞きつけて逆上したのか、ハルピンにいたはずのご本人様が登場~!

で、冒頭の言葉となったわけです。

中国人の面子(メンツ)は「面の皮」である

なぜ見え透いた嘘までついて居留守を使うのか?ということですが、スタッフが後でこう言います。

「相手に会いたくないときは、会いたくないと言うこと自体が(負けを認めるという意味で)自分のメンツを潰すから、そういうときは、どこどこにいて物理的に会えない、と話をもっていくのが中国人。だから、たとえ相手が悪人でも、そのウソを指摘することは、メンツを潰すことになるんだよ、まりつ」

「日本人だったら、こういうとき、自分は青島にいるから会えないって一度言ったら、死んでも出てこないけどね。よくも出てこられるよね。日本人にとっては、それこそが恥だけど、中国人は恥ずかしくもなんともないんだ?」

「そうだよ、中国人のメンツは表面的なものだよ、心の問題じゃない」。スタッフは、自分の顔の皮をさすりながら、「中国人のメンツは、『面子(ミィエンツ)』」だと笑いながら答えます。

ああ、そうか、中国人のメンツとは、「面の皮」のことを言うんだね。「厚顔無恥」とは中国人のためにある言葉だね。

「第一、相手を怒らせると、ここは自分たちの地元じゃないし、キミたちは外国人だから危ない」と経営者にお説教をたれるスタッフ。

「わーかってるさ、んなこと。だから、やってあげたのさ」

私たちにすれば、「中国人の面子を潰すな」は耳にタコ。でも、「ハイ、そーですか」では、限られた時間で仕事を成し遂げることはできません。少々の危険は承知で、とにかくアクションを起こして、相手をこちらの土俵に引きずり出してやる必要があったのです。「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の捨て身作戦というわけです。

つづく