「タクシーをご利用の方はこちらですよ。」「いくら?」「5ドル。」「5ドル?高いな。」「お客さん、冗談言っちゃいけないよ。空港のカウンターは10ドルだよ。」「ふーん。でも、ちょっとその表見せてよ・・・3ドルで乗せてるじゃない。じゃ、3ドルね。3ドルじゃなくちゃ、乗らないもん。」
ミャンマーに来てまで、中国仕込みの商人魂を忘れない私。だけど、荷物持ちの少年には要注意。頼みもしないのに、トランクにスーツケースを入れるだけで、1人1ドルを要求してくる。「私、頼んだ覚えないわ。だから、払わない。」こんないやな日本人がいるとは、彼らも予定外だっただろう。
「地球の歩き方」で研究した結果、雨季でさぞや暑いだろうと予想していたが、たまたま夏が舞い戻った日本から出発したこともあり、思ったよりもずっと涼しかった。七分袖のシャツでちょうどよく、日焼けもほとんど気にならなかった。ホテルの室内は、クーラーを消さないと寒いぐらいだった。ホテルには屋外プールもあったが、とんでもない。最終日前日を除いて、毎日雨が降った。
ミャンマーでは現在、アメリカの経済封鎖により、カードはほとんど使えない。現地通貨はチャット。ホテルや大きなスーパーでは、ドルも使用可能。両替の際はドルから。円は使えないので要注意。街のどこでも両替ができるので、出かけるたびに小まめに両替すればいい。ホテルでのレートは1ドル =800チャット前後。街の闇屋では、950チャット前後。
シティ・マートは、市内ほとんど唯一のスーパーマーケットといっていい。けっこう、いろんなものがそろっている。買い物に来る現地人は、ちょっとお金持ちそう。店員が厳しく見張っている。英語のできる店員は限られている。商品について知りたくて話しかけると、めぐりめぐって、やっと英語のできる男の子が来る。商品は、メイド・イン・ミャンマーのものはほとんどなく、タイ、香港、マレーシアなどからの輸入ものが多くを占める。私は、香港産の”出前一丁”を6バリエーションの味で購入。ここは、ドルのまま支払いが可能。しかも、1ドル =950チャットと、もっともレートがいい。外へ出ると、通りの向かい側は、屋台のマーケット。物乞いの幼い少年が、嘘の涙を顔に描いて、手を差し出してくる。
ヤンゴン市内のタクシーは、ほぼすべて、中古の日本車だ。最低でも12、13年もの。20年ぐらい前のものもある。だから、エアコンが効かなかったりもする。でも、運転手さんはたいてい、かなり運転も上手だから大丈夫。それに、話好きの人が多く、退屈しない。政府関係の仕事を辞めてタクシー運転手に切り替えたとか、大学で地質学の調査をしながら夜は運転手という変り種は、珍しくないらしい。みな、あっけらかんとしている。タクシーは、仕事としていいのだそうだ。車はみな自前、個人タクシーだ。登録している人もいれば、していない人もいて、そのへんはアバウト。おもしろいのが、タクシー運賃。キロいくら、ではなく、どこまでいくら、で交渉するのだ。空港↔市内は、20分強でだいたい3ドルが相場。アウンサン市場↔セドナホテルなど、市内の移動は、10~20分ほど乗って、だいたい1,200~2,000チャット(1ドル強~2ドル。1ドル =1,000チャットで換算すると計算しやすい)。