中国人との結婚・離婚 研究その10 中華人民共和国民法通則第147条のナゾ 外国法で成立した離婚はどうなるのか?

外国法で成立した協議離婚の認証書類を中国の民政局で受理してもらえるか?

中国国外で成立した離婚協議は国内の協議離婚とは手順・手続が一致しないため、関係法律法規は、このような離婚の方式の効力を規定していない。ゆえに、民政局は、根拠とする法律のない状況下では離婚認定はできない。

外国の裁判・調停離婚は中国で反映されるか?

外国の裁判所における判決もしくは調停は、当事者である申請人自身によって、申請人の住所地の中級人民法院(裁判所)に対して承認申請を提出できる。

協議離婚の制度的な空洞

中華人民共和国民法通則第147条は、「離婚には、案件が受理された裁判所の所在地の法律が適用されるものとする」とし、裁判上の離婚しか規定がない。これは中国に協議離婚の制度が存在しない頃に作られたものだが、現在は中国でも協議離婚が認められている。

同条によると、離婚は裁判所の所在地の法律を適用するので、外国の裁判所で調停・裁判離婚した場合は、とりあえず人民法院に承認申請するという道がある。けれども、協議離婚は想定外のうえ、外国での協議離婚の報告的届出を受入れる制度もないため、空洞になってしまっている。

(参考)
外国法離婚判決事件の最高人民法院による承認申請受理問題に関する規定<法釈〔2000〕6号>

  1. 中国公民は人民法院に対して、外国裁判所における離婚判決の承認申請を行うことができるものとし、人民法院は、国内で未だその婚姻関係が締結されていないことをもって、その受理を拒否してはならない。中国公民は、自身が欠席状況下で出された外国裁判所による離婚判決の承認申請を行うことができるものとし、同時に、人民法院に対して、当該判決の外国裁判所がすでに合法的に召喚し出廷した関係証明文書を人民法院に提出しなければならない。
  2. 外国人の人民法院に対する外国裁判所における離婚判決の承認申請は、その離婚の配偶者が中国公民である場合は、人民法院は受理しなければならない。その離婚の配偶者も外国人である場合は、人民法院は受理しないが、直接婚姻登記機関にて再婚登記申請をするよう告知するものとする。
  3. 当事者は、人民法院に対して、外国裁判所における離婚調停書が有効である旨を承認申請した場合は、人民法院はこれを受理しなければならず、「中国公民の外国裁判所における離婚判決手続問題に関する規定」に基づき審査を実施し、承認するか否かを裁定するものとする。

つづく

CONTACT US

加藤麻里子国際法務事務所
336-0042
さいたま市南区大谷口1417-7
TEL: 048-882-4130
FAX: 048-811-4131
E-mail:
URL: http://mao-cjlaw.com/
日本国際経済開発LLP 日本自動車部品工業団地 JAPIC 浙江省紹興市招商局日本代表処 紹興上虞日本工業園 紹興濱海新城 宣城経済技術開発区日本代表処