HOME > ARCHIVES > 中国人との結婚・離婚研究 > 中国人との結婚・離婚 研究その11 日本人配偶者から考えた中国人配偶者との離婚
日中双方の法律で完全に有効な婚姻(日中双方で形式的に整った婚姻=中国で婚姻し、日本に報告するというスタイル=中国の婚姻証があり、日本の戸籍にも反映されている婚姻)、かつ夫婦が日本在住とと仮定して、諸問題を整理してみよう。
日本人配偶者が日本で協議離婚する場合は、日本の離婚手続は問題がないが、日本人も中国法でも離婚手続をしておいたほうがよいのかという問題がある。
日本で離婚しても中国法ての離婚手続をしなければ、形式的には、跛行婚(はこうこん)である。とはいえ、日本での日本人・中国人との再婚であっても、中国での中国人との再婚であっても、「中国人との結婚・離婚 研究その6」のA氏の例にもあるとおり、実質的に問題はないのかもしれない。けれども、先のA氏の場合、前婚と同じ民政局で再婚の登記をしたら果たしてどうだったのかという興味はある。
中国法での離婚は、協議・調停・判決に関わらず日本の役所は受理するが、「中国人との結婚・離婚 研究その10」で述べたとおり、日本人配偶者が中国でも婚姻を解消したくとも、中国には離婚の報告的届出の制度がない。
そこで、日中どちらでも婚姻をきちっと解消したいという場合は、大きく二つの選択肢がある。
また、日本の離婚調停・裁判の中国人民法院に対する承認申請にあたっては、中国人側からの承認申請は基本、問題ないが、中国に住む外国人は承認申請が認められるべきであるとされているにとどめられていることから推測すると、海外に住む外国人の承認申請が認められる可能性は極めて低い。実際、(おそらく中国国内に在住する)外国人による承認申請事例そのものも極めて少ない。
よって、中国人民法院に対する承認申請の煩雑さからすると、日中双方で離婚の形式を整えようと思えば、協議でも、調停でも、裁判でも、とにかく中国法で離婚して、それを日本の役所に届出るに限る、ということになる。そうなると、選択肢としては中国で協議離婚というのが最もマシな方法かもしれない。
もっと現実に即して考えてみよう。燃えたぎる(?)結婚ならいざ知らず、日本在住の夫婦が、わざわざ中国に協議離婚の手続に行くのか?日本で行えば、離婚の形態に関わらず、日本人同士と同じ手続で可能だ。
当事者が現地に行けない場合は、現地で代理人を立てて調停離婚にしなければならないので(弁護士でもなくても可)、厄介なうえ費用がかかる。そして、合意ができていない場合や争いがある場合、日本においてさえ大変なのに、中国で調停や裁判するなんて、さらに厄介である。生活の拠点が日本にあり、子どもの学校の問題などがあれば、中国人にとっても非現実的である。日本人配偶者のほうは、現地弁護士に代理を頼まなければ実現しないだろう。
つづく
Post Date: December 3, 2016 (Sat) / Category: 中国人との結婚・離婚研究 / Author: MaO / Tags: 中国人女性, 離婚
日中双方の法律で完全に有効な婚姻(日中双方で形式的に整った婚姻=中国で婚姻し、日本に報告するというスタイル=中国の婚姻証があり、日本の戸籍にも反映されている婚姻)、かつ夫婦が日本在住とと仮定して、諸問題を整理してみよう。
日本人配偶者の選択肢
日本人配偶者が日本で協議離婚する場合は、日本の離婚手続は問題がないが、日本人も中国法でも離婚手続をしておいたほうがよいのかという問題がある。
日本で離婚しても中国法ての離婚手続をしなければ、形式的には、跛行婚(はこうこん)である。とはいえ、日本での日本人・中国人との再婚であっても、中国での中国人との再婚であっても、「中国人との結婚・離婚 研究その6」のA氏の例にもあるとおり、実質的に問題はないのかもしれない。けれども、先のA氏の場合、前婚と同じ民政局で再婚の登記をしたら果たしてどうだったのかという興味はある。
中国法での離婚は、協議・調停・判決に関わらず日本の役所は受理するが、「中国人との結婚・離婚 研究その10」で述べたとおり、日本人配偶者が中国でも婚姻を解消したくとも、中国には離婚の報告的届出の制度がない。
そこで、日中どちらでも婚姻をきちっと解消したいという場合は、大きく二つの選択肢がある。
また、日本の離婚調停・裁判の中国人民法院に対する承認申請にあたっては、中国人側からの承認申請は基本、問題ないが、中国に住む外国人は承認申請が認められるべきであるとされているにとどめられていることから推測すると、海外に住む外国人の承認申請が認められる可能性は極めて低い。実際、(おそらく中国国内に在住する)外国人による承認申請事例そのものも極めて少ない。
よって、中国人民法院に対する承認申請の煩雑さからすると、日中双方で離婚の形式を整えようと思えば、協議でも、調停でも、裁判でも、とにかく中国法で離婚して、それを日本の役所に届出るに限る、ということになる。そうなると、選択肢としては中国で協議離婚というのが最もマシな方法かもしれない。
わざわざ中国へ行くのか
もっと現実に即して考えてみよう。燃えたぎる(?)結婚ならいざ知らず、日本在住の夫婦が、わざわざ中国に協議離婚の手続に行くのか?日本で行えば、離婚の形態に関わらず、日本人同士と同じ手続で可能だ。
当事者が現地に行けない場合は、現地で代理人を立てて調停離婚にしなければならないので(弁護士でもなくても可)、厄介なうえ費用がかかる。そして、合意ができていない場合や争いがある場合、日本においてさえ大変なのに、中国で調停や裁判するなんて、さらに厄介である。生活の拠点が日本にあり、子どもの学校の問題などがあれば、中国人にとっても非現実的である。日本人配偶者のほうは、現地弁護士に代理を頼まなければ実現しないだろう。
つづく