中国人との結婚・離婚 研究その6 知らず知らずのうちに跛行婚(はこうこん)となるケース

A氏は、最初の中国人妻と中国現地で結婚し婚姻の届出を行い(創設的届出)、日本の役所に届出し(報告的届出)、妻が来日したものの離婚に至り(日本の役所へ離婚届を提出)、その後、違う現地中国人と、やはり中国で再婚した(創設的届出を行った)。彼は、日本法では当然離婚をしたから再婚できたのであるが、そういえば、中国法による離婚手続は行っていない。

B氏は中国人女性と中国で婚姻の届出後、日本では届出を行わないまま、妻(?)の在留資格も取得しなかった。この場合、中国ではもちろん婚姻が成立しているが、日本では一見、成立していないように思われる。

つまり、日本においては、B氏はあいかわらず独身であると。実際、このケースでは、日本法による離婚手続は 行いようがない。

ただし、日本では、外国法による婚姻の創設的届出を行ったことを3ヶ月以内に報告しなさい(報告的届出)となっている。報告的届出も創設的届出と同じステイタスを持つ。したがって、届出の有無に関わらず、実は、中国での創設的届出により日本でも結婚は有効に成立(結婚としては存在)している。有効ではあるが、日本の要件(届出ること=役所が認識すること)を満たしていないという意味において、このケースは跛行婚(はこうこん、一方の国で婚姻が成立していても、一方の国ではきっちり成立していない状態のこと)ということになる。

国際結婚では、このように知らず知らずのうちに、跛行婚の状態になってしまうことがある。

つづく

CONTACT US

加藤麻里子国際法務事務所
336-0042
さいたま市南区大谷口1417-7
TEL: 048-882-4130
FAX: 048-811-4131
E-mail:
URL: http://mao-cjlaw.com/
日本国際経済開発LLP 日本自動車部品工業団地 JAPIC 浙江省紹興市招商局日本代表処 紹興上虞日本工業園 紹興濱海新城 宣城経済技術開発区日本代表処