HOME > ARCHIVES > 中国人との結婚・離婚研究 > 中国人との結婚・離婚 研究その7 中国で中国人と結婚した日本人が、中国で離婚せずにまた別の中国人と結婚することは可能か?
「中国人との結婚・離婚 研究その6」の「A氏」の場合を不思議に思われた方もいるだろう。日本で離婚届を出したとはいえ、中国では元妻とは婚姻継続状態、なぜ他の中国人女性と結婚できるのだろうと。
下記は、この疑問を中国大使館に尋ねた際の中国大使館の回答である。
「ある日本人がある中国人と結婚しているというデータ=結婚登記を行う民政局のデータは、全国共有ということになっている。けれども、実際にそうかどうかはなんともいえない」
ところで、先のA氏と、中国での婚姻を解消しないまま日本で他の女性と婚姻した場合にB氏は、重婚の罪にならないのだろうか?と考えてみた。
A氏は、前の中国人妻と中国で創設的届出を行い、日本へは報告的届出を行い、日本で協議離婚したため、まず日本法では婚姻が解消されている。日本における婚姻の解消により中国においてもその婚姻が有効に解消されたことになりそうなものだが、結婚だけでなく離婚も、報告的届出としてそれを認めていないのが中国法である。
したがって、日本法における婚姻の報告的届出を日本法における離婚の創設的届出できっちり解消した彼は、少なくとも日本法では重婚とはならないが、中国では、???である。
けれども、A氏は、とにかく離婚手続を行っているので、A氏と前妻の関係は、中国でも実質的には重婚とならないだろう。だが、再婚相手も中国人であるため、外国法による協議離婚を中国が受入れない限り、形式的には重婚となるのではないか?中国の婚姻法は重婚を禁止している。
B氏は中国で創設的届出を行い、日本に届出ていないだけで日本法でも有効に成立している。日本の役所は、中国での婚姻の創設的届出を知る由もないから、B氏の戸籍は前妻との婚姻の記載がない独身のまま。新たな結婚をし、届け出ることが可能。
ただし、婚姻を解消することなく、新たに日本国内で結婚し、創設的届出を行えば、届け出ていない前婚と届け出た後婚のダブルに婚姻が成立することになり、これがつまり重婚となる。
さらに、B氏は、どこの国の女性と再婚しても日本法では重婚である。離婚手続きをしなければ(B氏の場合、基本的には中国法での離婚しかない)、中国法でも当然重婚。
戸籍が無傷のB氏の立場に立つと、中国人と再婚する予定さえなければ、わざわざ中国へ行ってまでそんな面倒くさい手続などやらなくてもいいのではないか?中国での結婚のほうはほったからかしでも問題ないのではないか?一見そう思われる。
悩んだ末、B氏は、将来、万が一同じ民政局の管轄での中国人女性との再婚となる可能性も含め、あらゆる意味で法律的にきれいにしておくため、また、相手からの要求もあって、現地できちんと離婚手続うこととなった。
重婚の問題は、ひとつのテーマとしていずれ追究してみたい。
つづく
Post Date: November 24, 2016 (Thu) / Category: 中国人との結婚・離婚研究 / Author: MaO / Tags: 中国人女性, 結婚, 離婚
「中国人との結婚・離婚 研究その6」の「A氏」の場合を不思議に思われた方もいるだろう。日本で離婚届を出したとはいえ、中国では元妻とは婚姻継続状態、なぜ他の中国人女性と結婚できるのだろうと。
下記は、この疑問を中国大使館に尋ねた際の中国大使館の回答である。
「ある日本人がある中国人と結婚しているというデータ=結婚登記を行う民政局のデータは、全国共有ということになっている。けれども、実際にそうかどうかはなんともいえない」
重婚になる?ならない?
ところで、先のA氏と、中国での婚姻を解消しないまま日本で他の女性と婚姻した場合にB氏は、重婚の罪にならないのだろうか?と考えてみた。
A氏の場合
A氏は、前の中国人妻と中国で創設的届出を行い、日本へは報告的届出を行い、日本で協議離婚したため、まず日本法では婚姻が解消されている。日本における婚姻の解消により中国においてもその婚姻が有効に解消されたことになりそうなものだが、結婚だけでなく離婚も、報告的届出としてそれを認めていないのが中国法である。
したがって、日本法における婚姻の報告的届出を日本法における離婚の創設的届出できっちり解消した彼は、少なくとも日本法では重婚とはならないが、中国では、???である。
けれども、A氏は、とにかく離婚手続を行っているので、A氏と前妻の関係は、中国でも実質的には重婚とならないだろう。だが、再婚相手も中国人であるため、外国法による協議離婚を中国が受入れない限り、形式的には重婚となるのではないか?中国の婚姻法は重婚を禁止している。
B氏の場合
B氏は中国で創設的届出を行い、日本に届出ていないだけで日本法でも有効に成立している。日本の役所は、中国での婚姻の創設的届出を知る由もないから、B氏の戸籍は前妻との婚姻の記載がない独身のまま。新たな結婚をし、届け出ることが可能。
ただし、婚姻を解消することなく、新たに日本国内で結婚し、創設的届出を行えば、届け出ていない前婚と届け出た後婚のダブルに婚姻が成立することになり、これがつまり重婚となる。
さらに、B氏は、どこの国の女性と再婚しても日本法では重婚である。離婚手続きをしなければ(B氏の場合、基本的には中国法での離婚しかない)、中国法でも当然重婚。
戸籍が無傷のB氏の立場に立つと、中国人と再婚する予定さえなければ、わざわざ中国へ行ってまでそんな面倒くさい手続などやらなくてもいいのではないか?中国での結婚のほうはほったからかしでも問題ないのではないか?一見そう思われる。
悩んだ末、B氏は、将来、万が一同じ民政局の管轄での中国人女性との再婚となる可能性も含め、あらゆる意味で法律的にきれいにしておくため、また、相手からの要求もあって、現地できちんと離婚手続うこととなった。
重婚の問題は、ひとつのテーマとしていずれ追究してみたい。
つづく