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ホテルにチェックインして部屋に荷物を置いたら、すでに午後3時近くでしたが、一同はバスで、Sさんがすでに下見済みの巨大な服装城(ビルまるごとが洋服の専門店街)へ。浙江省は、繊維やアパレルの産地として有名です。 「もう、あんまり時間ないね。5時には閉まります。どうしますか?」とSさん。「でも、あと1時間ありますよ。1時間あれば、ひととおりチェックできるでしょう」と、「中国では、日本にいるときの5倍働くよね」とビズパートナーから評されている加藤が、励 …
発車時刻の15分ぐらい前になりますと、検票(改札)のアナウンスがあり、自動改札機にチケットを通していきます。エスカレーターでホームに出てしばらくすると、動車が滑り込んできます。姿も車内も日本の新幹線とよく似ています。 時速300キロ近い動車は杭州を通り、次の桐郷に停車します。ここで下車し、その後は、Sさんの案内でミニバスで桐郷の街中へ。まずは日本組のホテルのチェックインを済ませ、身軽になってから次なる目的地へ向かうことにしました。 なにか …
一同が向かったのは、紹興市のいちばん西側に位置する柯橋という繊維の街。紹興旧市街よりも一歩先に都市化してきた様子があります。 私たちのカンでは、そこには、Sさんの目的とする洋服や小物の卸専門ビルがあるはずでした。で、勧めてみたのですが、行ってみたら、ビルまるごとカーテン生地専門市場や、アパレルの小売が集まったビルだけで、地元民に確認してもアパレルの卸はないそうなのです。 いいかげんニホンジン二人組としても責任は感じますが、Sさんはビジネスをす …
去る11月下旬のこと。ビズパートナーと私は、浙江省は紹興市(杭州湾を挟み、上海の南西160キロ)に出張していました。日系企業との打合せや、開発区、紹興市招商局と打合せをするためでした。 紹興での仕事を終えた私たちは、朝一番でホテルをチェックアウトし、タクシーで待ち合わせ場所の紹興北駅に向かっていました。紹興北駅は、上海-杭州-紹興-寧波等を結ぶ動車(高速電車: 中国では、昔ながらの汽車と今風の地下鉄のほかは、普通電車が普及していなくて、いきなり …
「は~い、加藤先生、Sです」 上海虹橋鉄道駅でSさんと別れ、私たちが帰国して数日後、オフィスの電話が鳴りました。 「このあいだはありがとうございました」「こちらこそ。なんだかSさんがいなくて淋しい感じがしますよ」「私もよ~。淋しいよ~」 「私、いま、ふるさとにいるですよ。山東省の」「あの日に帰ったんですか?」 「いいえ。荷物倉庫に預けて、いるものだけ持って、その日は遅くなったから、次の日の夕方6時のバスに乗って帰りました。着いたら朝の10 …
「Mさんたち、いつも私の会社の実印預かろうとした。私、おかしいと思ったよ。でも、私、返されるたびに、実印変えたあるよ。前のところ削って新しく彫ってもらった。この印鑑カードは三つ目の実印のあるね」「へぇ~」とその用心深さにも感心する私。 「こういうのはどうかなぁ? こういう書類はいる?」。あのだら~っとしたSさんが、積極的にこれはと思う書類を出しては私に確認します。こんなSさんを見るのは初めてです。 そういえば、Sさんの日本語能力は、私が彼女の …
「でも、まだ未来はありますから。まだ終わりじゃありませんから。そのためにも、必ず期限内に帰ってください。前向きな気持ちで。そこからすべてが始まります」 「Sさんって、人を信用しないでしょう? なぜちゃんとした人間を信用できないんですか?」 そんなある日、Sさんから電話が。帰国日はすぐそこです。 「はーい(彼女の電話はいつもこれで始まります)、加藤先生、いまから会えますか? ワタシ、加藤先生に頼むことにしたあるよ。ワタシ、やっぱりビジネスした …
あっけに取られる私・・・ ああ、だから、Sさんは明るい顔してたんだ。彼女、許可になると思っていたんだ。なんという浅はかさ。なんという思慮のなさ。腹立たしさより先に虚しさを感じました。偽造書類だけは出してはいけないと、わがビズパートナーも注意していたのに・・・! 「入管の人、聞きました。Nさんに言われてやったの? 私、答えた。いいえ、自分で考えてやりました。でも、私、Nさんなんていう行政書士、知らないあるね。聞いたことないよ」 Sさんは、自分 …
「なるべく遅く行くほうがええかなあ? 再申請までの時間稼ぐために・・・」とEさん。 「加藤先生、同行してくれるやろ?」(※出国準備のための「特定活動」は出頭し手続した日から1ヶ月を超えない範囲) 「申し訳ないのですが、私、9日から中国出張なんです。私が同行ということであれば、その前に行っていただくしかありません」 淡々とそう伝えながらも、私は、頭の中では可能性を探っていました。起業準備のための特定活動への変更だとか(Sさんのケースではまった …
職業的な習性で、頼まれなくともSさんの再申請を頭の中で勝手に構築し、逆算して行動してしまう加藤。けれども、この事業計画のまま住所変更して書類を作り直すのであれば、Sさんは、(行政書士?)Aに頼むしかないでしょう。私の関わるところではありませんし、やりようがありません。なぜなら、これはAが手がけ、取り次いだ案件だからです。(また、内容的にもNPO法人MRとの共同事業です。)けれども、実際に差配しているのは名字使い分けのMであると想像され、Aが自分の …