あっけに取られる私・・・
ああ、だから、Sさんは明るい顔してたんだ。彼女、許可になると思っていたんだ。なんという浅はかさ。なんという思慮のなさ。腹立たしさより先に虚しさを感じました。偽造書類だけは出してはいけないと、わがビズパートナーも注意していたのに・・・!
「入管の人、聞きました。Nさんに言われてやったの? 私、答えた。いいえ、自分で考えてやりました。でも、私、Nさんなんていう行政書士、知らないあるね。聞いたことないよ」
Sさんは、自分の申請はAが取り次いだとばかり思っていました。私もそうです。けれども、取り次いだのは一度も会ったことのないNだったのです。じゃ、いったいAは何者??
そうやって、私たちに相談しては、こちらの親身のアドバイスを無視して勝手なことをするSさんとEさん。「加藤先生、私、どうしたらいい?」
「どうして偽造書類なんて出したんですか? こんなことしなければ、Sさんは被害者として少しは同情される余地もあったのに・・・道はあったかもしれないのに・・・もう、再申請はあり得ません」
「だって、私361.5万も出した。合計500万出資したあるよ。なのにビザ取れないなんて」
「自分から偽造書類出すというのは、入管を欺くことです。事業内容まるごと替えて再申請しても受理されません。ますます状況を悪くするだけです。とにかく、まずは在留期限内に帰国してください。オーバーステイしたら、たとえ自分から出頭して帰っても、もう一度日本に来られる保証はありません。どういう方法でいつ申請するかは、私に依頼されるのであれば考えてみます。その場合、帰国前に依頼してもらったほうがベターです。そのほうがずっと効果的に構築できますから」
「なにですよ、私、日本人と結婚すれば大丈夫でしょう?」「いいえ、無理です。いまのSさんでは、ビザのための偽装結婚と疑われるだけです。入管の目は節穴ではありませんよ。Sさんの目的は、結局ビザだったんですか? ビジネスすることではなかったんですか?」
「私の人生、みんな失敗あるよ。6年も日本にいて、なにもないよ。結婚も失敗した。仕事も騙された。ビザもない。子どももいない。(年齢的に)もうすぐ産めなくなるよ。私、なんのために日本に来た? もう、私の人生終わりあるね」
「え~っっ、Sさん、子どもなんてほしかったんですかぁ?」。思わずのけぞる私・・・