【概要】
- さいたま市在住の30代中国人女性、日本で大学卒業後、起業をめざし、中国人向けフリーペーパーに「投資経営ビザ取得」の広告を打った都内企業に打診
- 広告主企業のペースで事業展開の話がどんどん進み、ビザ手続費用5万円、会社設立費用28万円、資本金500万円から共同事業の出資金として361.5万円を支払う
- 会社設立は神奈川県内の行政書士、入管申請は都内の行政書士法人が担当
- 「留学」から「投資・経営(現 経営・管理)」への変更申請中、広告主企業・入管申請担当行政書士に強い不信感を抱く
- 入管からの追加書類の要求に対し、広告主企業からの協力は期待できないと判断、切羽詰まり偽造書類を作成し提出、変更申請が不許可となる
【経緯】
- 以前、「日本人の配偶者等」から「留学」への変更許可を当職が手続きした関係で相談を受ける
- 偽造書類は出さないよう予め注意しておいたにも関わらず、本人が作成提出
- 不許可となり、困り果てて当事務所に依頼
【作業】
- 本人にインタビューを重ね経緯を確認・整理するとともに、関係企業・関係者を洗い出す
- 嘘(偽造書類)の上塗りを防ぐため、本人の申告に対して裏を取り、複数の会社・人物の関わる資本金詐欺目的の組織犯罪であった事実関係を明らかにする
- 安易に事業計画を焼き直した再申請ではなく、いったん帰国させ、一から事業を構築し直し認定申請でいくことを決定
- 必要書類を預かり、帰国前にできる作業を終わらせ、出国準備のための「特定活動」の在留期限内に帰国させる
- 本国で市場リサーチ・事業構築させ、当職の中国出張の折にその成果を現地取材・確認
【結果】
【コメント】
- 本人の偽造書類作成提出による不許可という最悪の事態からの出発であった
- 情状・心証が悪く、可能性は低いと感じたが、本人には当職の指導に従えば通るだろうと励ました
- 審査期間は要したものの、先の変更申請の関係企業・関係者に関する裏を取ったこと、組織的な詐欺に巻き込まれたとはいえ一切言い訳をせず、本人にとってはマイナスの事実も洗いざらい申告したこと、現地取材に基づき事業の具体性・信憑性をアピールしたこと、詳細な原価計算を含めた事業計画書を作成したことで許可へと導いたケース
※ 2016/03 時点の関係諸法令に基づき記しています。