品川入管(東京入管)に向かう車中及び待ち時間、Sさんに持って来てもらった申請書類のコピー(を彼女は渡されていました)その他関係書類一式に目を通し、また、彼女の話を聞きながら、この書類の主たる作成者は、(行政書士?)Aではなく、今回の投資経営ビザの件でSさんに具体的に指示した、複数の姓と会社を使い分けるMもしくは、K株式会社の中国人Cであることが判明、さらに、Sさんの過去を知る私には、明らかに嘘の書面を作成して添付していることもわかったのでした。
私から言わせれば、全体的にいいかげんな書類でした。日本人あるいは行政書士ならば決して使わない特徴のある書き方のされた申請理由書や、Mが他人になり代わって署名したデッチアゲ書類。けれども、事業計画だけは立派に体裁が整っていました。立証書類もそろっています。ですから、入管は、(本当の)大家さんの承諾書を出してもらえれば許可すると言ったのでしょう。提出された書面に不足はなく、整合性があり、許可基準に合致すると判断されれば、入管はひとつひとつ真実まで追うことはないのでしょう。入管行政に対するはがゆさを感じますが、これが書類審査の限界ということでしょう。
もとはといえば、中国人向けフリーペーパーに「投資経営ビザ取得」の広告を打ったK株式会社の中国人Cが、この件の窓口でした。素朴な疑問をSさんに投げかける加藤。
「Sさん、どうして悪い中国人を見分けられなかったんですか? 中国人なのに・・・」
「だって、Cさんもだけど、Mさんも悪い人の顔していないあるよ。やさしい感じ」
「目見ればわかるでしょう? 『腐った魚の目』してるでしょう? 悪い中国人は。北京に住んでいたとき、私、中国人にそうおそわりましたよ。だから、目見ればわかりますけど」
「だって、こんなの初めてあるよ。だから、わからなかったあるね」
「それにね、投資経営ビザの手続が5万なんて、たいていろくでもないから。なにか裏があると思わないと。相手はどこかで別の儲けが出るからこそ、5万なんですから」
中国人に騙される中国人もいるんだなぁ。可笑しいやら、呆れるやら、不憫に思うやら・・・
それにしても、なぜ彼らが作ったニセ書類に、Sさんはサインしてしまったのか。よけいなものを提出したことが再申請の足を引っ張るであろうことを考え、憂鬱になる私でした。