中国人留学生が投資経営ビザで騙された??? その10 November 10, 2013 (Sun)

「でも、まだ未来はありますから。まだ終わりじゃありませんから。そのためにも、必ず期限内に帰ってください。前向きな気持ちで。そこからすべてが始まります」

「Sさんって、人を信用しないでしょう? なぜちゃんとした人間を信用できないんですか?」

そんなある日、Sさんから電話が。帰国日はすぐそこです。

「はーい(彼女の電話はいつもこれで始まります)、加藤先生、いまから会えますか? ワタシ、加藤先生に頼むことにしたあるよ。ワタシ、やっぱりビジネスしたいあるね」「それじゃ、着手金と会社の変更手続の預り金、書類の原本全部と、会社と個人の通帳持って、Sさんの家の前のファミレスに午後3時に来てください」。ビジネスライクに伝える加藤。

やってきたSさんにまずは吐かせます。「Sさん、戻ってこない出資金分を埋めるだけのお金ありますか? 正直に言ってください。Eさんに言えないことでも。それがなければ認定申請(新規に入国するための申請)はできませんから。たぶん、あるでしょう? ありますよね?」。ない、ないと言っていたはずが、やっぱり持っています。あちこちの口座に。中国人ってそうです。

その後、県庁帰りのビズパートナーも寄ってくれて、Sさんの考えるビジネスから、説得力のあるものをピックアップして組み立ててみます。

そして・・・

帰国前夜、Sさんとの二度目の打合せは夜中にまで及びました。まず、こちらの指定した残りの書類を預かり、準備してきた書類にサインしてもらいます。それから、帰国後やってほしいことをリストアップしたメモを渡します。関わった人物の名刺の束を新たに持参したSさん、荷物の梱包作業や帰国準備の疲れも見せず、1枚1枚取り出しながら熱心に説明します。いったい、何十人の人間が背後にいたのか? そして、彼らに依頼した直後から始まった疑問・疑惑を日本語で整理したというノートのページを私に見せます。ほぉ~。

つづく