Sさんのためには、私が入管から信用されてよかったと思いますが、(行政書士?)A及びA所属の行政書士法人Sにとっては、とんだ迷惑、よけいなお世話でしょう。自分たちの知らないところで、申請を取り次いだわけでもないよそ者行政書士に勝手なことされて。
けれども、逆に言えば、プロであるならば、いつ誰に見られても突っ込まれても恥ずかしくない仕事をせよ、ということだと思います。素人だと思って依頼者を見くびったり、いいかげんな仕事をしているとこうなります。
私の目的は、今回の申請で入管の要求に対処することだけではありませんでした。Sさんに同行したより大事な目的は、不許可後の適切な方向性を見出すことでした。(許可を出すのは入管ですから、問題の根が深いほど、事前に入管の見解を知り、本音を探り、求められているものを把握するという工程が欠かせません。入管の要求と申請者の希望をうまく合致させ、許可のための道筋をつける=コンサルティングするのが私たちの仕事です)
というのは、その時点ですでに、Sさんの会社に本店事務所として又貸しした株式会社Mが、ビルの所有者(本当の大家さん)に数ヶ月分の家賃を滞納している事実(?)が発覚していたからです。ですから、本当の大家さんが承諾書を出すはずがありません。大家さんからは、家賃を肩代わりするのなら書いてもいいと言われたそうですが、当然でしょう。
それについて私から入管に話すことは避けましたが、一応、本店住所を移転した場合の期日もお願いして設定してもらったのでした。とはいえ、やり直し審査は時間を要するため、その日からわずか11日後が期日。本店移転の変更登記をして謄本を取得するだけでも日数的に難しいうえに、住所変更に伴い様々な書類を作り直す時間も必要でした。
共同経営者となるNPO法人MRの口座宛にSさんが振り込んだ361.5万円は、主に事務所の内装工事代金に充てられることになっていて、建設会社から見積りまで取っていました。けれども、その事務所は又貸し大家が家賃も払わないまま、NPO法人もなにをするわけでもありません。つまり、Sさんの361.5万円は宙に消えたも同然となったのです。NPO法人MRの第一目的は、許可が下りようと下りまいと、まずこの361.5万円を振り込ませることだったのでしょう。
そんなわけで、初めから不許可を想定し、再申請の可能性や方向性についてあれこれ確認したのですが、担当官Tさんはかなり突っ込んだ質問にもきっちり答えてくれたうえ、その後電話した際にも丁寧に応じてくれたのでした。